ミックスゲームは決めた区切りで複数種目を切り替える
ポーカーのミックスゲームは、複数の種目を決めた順番と区切りで切り替える形式です。次の種目では、配る枚数だけでなく、使えるカードや勝ち方、ベット上限も変わります。

ハンドは、1回の配札から決着までの単位です。ローテーションは、種目を回す順番を指します。たとえばホールデムのハンドを終え、チップを分配してカードを回収した後、次のオマハを新しく配ります。進行中の手札に別種目の判定を当てはめるわけではありません。
代表的なミックスが5種目のHORSEと、8種目の8ゲームです。ただし、「ミックス」という名前だけで種目順や交代するハンド数までは決まりません。開始前に、その教材や大会の構成表を確認します。
HORSEと8ゲームで採用する種目
HORSEは5種目すべて固定リミット
HORSEは次の5種目の頭文字です。H→O→R→S→E→Hの順で繰り返します。PokerStarsのHORSEの公式説明では、すべて固定リミットで行います。
| 略号 | 種目 | 勝ち方 |
|---|---|---|
| H | Hold’em(ホールデム) | 通常の役が強い人が勝つハイ |
| O | Omaha Hi/Lo 8-or-better(オマハ・ハイロー8) | ハイと、条件を満たすローで分配 |
| R | Razz(ラズ) | Aを低く扱うローだけで判定 |
| S | Seven Card Stud(セブンカードスタッド) | ハイ |
| E | Eight-or-better(スタッド・ハイロー8) | ハイと、条件を満たすローで分配 |
ハイは通常の役の強さを競い、ローは低いカードの組み合わせを競います。OとEの「8」は、ローとして認められる5枚に条件があることを示します。Razzにはその8以下という資格条件がありません。判定方法は後の比較で確認します。
8ゲームは固定リミット6種にNLHEとPLOが加わる
以下はPokerStarsの8ゲーム説明の順番です。前の6種目はFL、最後の2種目はNLとPLになり、同じホールデムでもベット上限が変わります。
| 順 | 種目 | 上限 | 配札の系統 | 最善5枚の作り方 | 判定 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2-7 Triple Draw | FL | 個人5枚。最大3回交換 | 交換後の5枚 | 2-7ロー |
| 2 | Limit Hold’em | FL | 個人2枚+共有5枚 | 合計7枚から任意の5枚 | ハイ |
| 3 | Omaha Hi/Lo 8 | FL | 個人4枚+共有5枚 | 個人2枚+共有3枚 | ハイ/資格ロー |
| 4 | Razz | FL | 通常、個人7枚 | 7枚から任意の5枚 | A-5ロー |
| 5 | Seven Card Stud | FL | 通常、個人7枚 | 7枚から任意の5枚 | ハイ |
| 6 | Stud Hi/Lo 8 | FL | 通常、個人7枚 | 高低それぞれ最善の5枚 | ハイ/資格ロー |
| 7 | No Limit Hold’em(NLHE) | NL | 個人2枚+共有5枚 | 合計7枚から任意の5枚 | ハイ |
| 8 | Pot Limit Omaha(PLO) | PL | 個人4枚+共有5枚 | 個人2枚+共有3枚 | ハイ |
共有札は全員が共通に使える、中央の表向きのカードです。ホールデムは自分の手札を0・1・2枚のいずれでも使えます。オマハは手札をちょうど2枚、共有札をちょうど3枚使います。ハイローのオマハでも、この枚数条件は高低それぞれに適用します。
スタッド系は通常、最終的に裏向き3枚・表向き4枚の個人札を持ちます。配札不足で共有札を使う例外もあるため、「どんな場合も共有札がない」とは覚えないようにします。各系統の詳しい進行は、ホールデムのルール、オマハのルール、スタッドのルールで確認できます。
種目を切り替える前に確認する条件
切替時は、現在種目・使用枚数・ハイ/ロー・上限をひと組で確認します。前の種目の感覚のままカードを選ぶと、役ができていても使用条件を満たさないことがあります。
| 確認するもの | 確かめる内容 |
|---|---|
| 切替単位 | 各種目を何ハンド行うか、時間・レベルで切り替えるか |
| 現在地 | 今の種目と、その区間で何ハンド終えたか |
| 配札と使用枚数 | 個人札の枚数、共有札・交換の有無、最善5枚に使える枚数 |
| 勝敗条件 | ハイのみ、ローのみ、高低分配のどれか。ローの方式と資格条件 |
| ベット上限 | FL・NL・PLと、その区間の額・増額単位 |
| 強制チップと先手 | ブラインドか、アンティとブリングインか。最初に行動する人 |
FL・NL・PLでは上限の決め方が違う
ベットはチップを出す行動、レイズは相手の額をさらに増やす行動です。ポットは、そのハンドで集まったチップを指します。
| 表記 | 上限・単位の考え方 |
|---|---|
| FL:固定リミット | あらかじめ決めた単位でベット・レイズする。進行段階で単位が変わることがある |
| NL:ノーリミット | 最低額や最低レイズの条件を満たせば、自分の手持ちチップまで出せる |
| PL:ポットリミット | ポットを基準に上限を求める。相手のベットがある場合、コール後のポットが増額部分の上限になる |
PLの上限は、相手のベットがある場面でも「今見えているポットと同じ額を合計で出す」という意味ではありません。ここでは上限方式の切替を押さえ、詳しい計算はオマハのベット上限で確認してください。
PokerStarsの説明には、NL・PL区間でブラインドやアンティを下げる記述がありますが、一律の比率は示されていません。FLの額をそのまま持ち越したり、独自の比率で換算したりせず、構成表の額を確認します。
強制チップと行動の先手も切り替わる
ブラインドは特定の席が配札前に出す強制チップで、スモールブラインド(SB)とビッグブラインド(BB)があります。アンティは配札前に各人などが出すチップです。ブリングインは、スタッド系で最初の表札を見て決まる人が出す開始のチップを指します。
| 系統 | 基本の強制チップ | 先手の決まり方 |
|---|---|---|
| ホールデム/オマハ | SB・BBのブラインド | 最初の行動はBBの次の人。共有札が出た後はボタンの次の参加者から |
| スタッド・ハイ/スタッド・ハイロー8 | アンティ+ブリングイン | 初回は低い表札の人。以後は表向きの組み合わせがハイとして強い人から |
| Razz | アンティ+ブリングイン | 初回は高い表札の人。以後は表向きの組み合わせがローとして強い人から |
| 2-7トリプルドロー | ブラインド | 最初はBBの次の人。交換後の行動はボタンの次の参加者から |
ボタンは席順の基準になる目印です。スタッド系への切替では、再びブラインド種目へ戻ったときに負担が飛んだり重複したりしないよう、ボタンを止める手続きもあります。アンティの追加や同順位の表札の処理を含め、採用規則を確かめます。
「8ゲームは必ず6ハンド交代」ではない
交代数や順番は、採用する形式によって違います。
| 公式資料の例 | 人数・切替単位 | 8ゲームの順番 |
|---|---|---|
| PokerStarsの公開説明 | 6人、各6ハンド。トーナメントは各レベルとの説明 | 2-7→FLホールデム→オマハ・ハイロー8→Razz→スタッド→スタッド・ハイロー8→NLHE→PLO |
| 2026 PGT Mixed Gamesの大会資料v2 | 7人制。人数が減っても各7ハンド | NLHE→スタッド→オマハ・ハイロー→Razz→PLO→FLホールデム→スタッド・ハイロー→2-7 |
PGTの条件は2026年2月大会の公式資料のGeneral Rules 2・4・15によるものです。他の年や大会の共通条件ではありません。また、HORSEの説明にある「各1ラウンド」も、全会場で同じハンド数を意味するとは限りません。
時間やレベルで区切る場合も、時計を合図に進行中の役判定だけを変えるものではありません。現在のハンドを終える手続きと、次のハンドの種目・額を、表示や主催者の案内で確認します。
同じ5枚でもハイとローでは勝ち方が変わる
ローには複数の方式があります。次のX・Yは、比較のためにそれぞれ最善5枚を取り出した例です。Razzで5枚だけ配る実演や、同じハンドの途中で規則を変更する例ではありません。
| 比較する5枚 | カード |
|---|---|
| X | |
| Y |
| 判定方式 | Xの評価 | Yの評価 | この2組の勝者 |
|---|---|---|---|
| 通常のハイ | 5ハイのストレート | 7ハイ、役なし | X |
| A-5ロー(Razz) | Aを1とする5ロー | 7ロー | X |
| 2-7ロー | Aハイ、役なし | 7ロー | Y |
A-5ローはAを低く扱い、ストレートやフラッシュができてもロー評価を悪くしません。ペアなどのないローどうしでは、高いカードから比べて低い方が勝ちます。Xの最高ランクは5、Yは7なので、RazzならXが勝ちます。Razzの公式説明も、この方式を採用しています。
2-7ローはAが高く、ストレートやフラッシュは不利な役になります。ただし、2-7のA・2・3・4・5はストレートではなくAハイです。したがって、上のXより、ペア・ストレート・フラッシュのない7ローのYが勝ちます。2-7の公式説明にも、このAハイの扱いが明記されています。
ハイロー8にはローの資格条件がある
Omaha Hi/Lo 8とStud Hi/Lo 8のローもA-5方式ですが、8以下の異なる5ランクをそろえる必要があります。Aは1として数え、同じランクの重複は5種類に数えません。
| 種目 | ローの方式 | 8以下の資格条件 | 分配 |
|---|---|---|---|
| Razz | A-5 | なし | 最善ローがポット全体を取る |
| Omaha Hi/Lo 8 | A-5 | あり。各2+3の枚数条件も必要 | 資格ローがあればハイとローで半分ずつ。なければハイが全体 |
| Stud Hi/Lo 8 | A-5 | あり | 資格ローがあればハイとローで半分ずつ。なければハイが全体 |
同じ人がハイとローの両方で最善なら、両方の取り分を得られます。オマハでは高低で違うカードの組み合わせを選べますが、それぞれ手札2枚+共有3枚を守ります。資格ローが誰にもないときは、低そうに見えるだけの手へ半分を渡しません。これらはオマハ・ハイローとスタッド・ハイローの公式説明に基づきます。
切替前後のハンドを進行から分配まで追う
ここからは、PokerStarsの順番で各6ハンドを行う6人の架空教材です。換金できないチップを使い、42手目の開始時点をA〜F各1,000、総量6,000と定めます。先の41ハンドの結果を再現したものではありません。ブラインドは教材用にSB1・BB2、アンティと手数料はなしとします。行動はルールを追うために選んだ例です。
| ハンド番号 | 種目 | 区間内の位置 |
|---|---|---|
| 1〜6 | FL 2-7トリプルドロー | 1〜6手目 |
| 7〜12 | FLホールデム | 1〜6手目 |
| 13〜18 | FLオマハ・ハイロー8 | 1〜6手目 |
| 19〜24 | Razz | 1〜6手目 |
| 25〜30 | FLスタッド | 1〜6手目 |
| 31〜36 | FLスタッド・ハイロー8 | 1〜6手目 |
| 37〜42 | NLHE | 42手目で6/6を完了 |
| 43〜48 | PLO | 43手目が1/6 |
| 49〜 | FL 2-7トリプルドローへ戻る | 次の一周を開始 |
NLHEを終えてから新しいPLOを配る
席は時計回りにA→B→C→D→E→Fです。42手目はNLHEの6/6で、ボタンA、BがSB、CがBBです。残ったB・Cの手札は次のとおりです。
| 人 | 個人札 |
|---|---|
| B | |
| C |
| 段階 | 行動・カード | 追加チップ | 行動後のポット |
|---|---|---|---|
| 配札前 | BがSB、CがBBを出す | B:1、C:2 | 3 |
| 最初の行動 | D→E→F→Aがフォールド(降りる) | 0 | 3 |
| Bの行動 | すでに出した1に、さらに1を足してコール(同額にする) | B:1 | 4 |
| Cの行動 | チェック(追加せず続行) | 0 | 4 |
| フロップ | A♥ K♥ Q♥。B→Cがチェック | 0 | 4 |
| ターン | J♥。B→Cがチェック | 0 | 4 |
| リバー | 10♥。B→Cがチェック | 0 | 4 |
フロップは最初の共有3枚、ターンとリバーはその後の共有1枚ずつです。最後まで残ったB・Cは手札を公開し、最善5枚を比べます。

ホールデムは手札0枚でもよいので、B・Cとも共有5枚のロイヤルフラッシュが最善です。同じ強さのためポット4を2ずつ分け、B・Cの残高は各1,000へ戻ります。他の4人も1,000です。
これで42手目が終了し、NLHE区間も完了します。カードをすべて回収し、ボタンをAからBへ移します。次はPLO・個人札4枚・使用は2+3・上限はPLと確かめ、52枚を新しく混ぜて43手目を配ります。42手目の手札や共有札は持ち越しません。
オマハでは手札2枚と共有3枚で判定する
43手目はPLOの1/6です。ボタンB、CがSB、DがBBになります。新しい配札で、残ったC・Dは次の手札を持ちます。
| 人 | 個人札4枚 |
|---|---|
| C | |
| D |
| 段階 | 行動・カード | 追加チップ | 行動後のポット |
|---|---|---|---|
| 配札前 | CがSB、DがBBを出す | C:1、D:2 | 3 |
| 最初の行動 | E→F→A→Bがフォールド | 0 | 3 |
| Cの行動 | すでに出した1に、さらに1を足してコール | C:1 | 4 |
| Dの行動 | チェック | 0 | 4 |
| フロップ | A♠ K♠ Q♠。C→Dがチェック | 0 | 4 |
| ターン | J♠。C→Dがチェック | 0 | 4 |
| リバー | 10♠。C→Dがチェック | 0 | 4 |
共有札には再びロイヤルが並びますが、今回はオマハです。共有5枚だけを使うことはできません。Cは次の枠内の2枚と3枚を使います。

Cの最善は9♠・8♠+Q♠・J♠・10♠で、Qハイのストレートフラッシュです。共有のA♠・K♠と、手札の2♦・3♣は、この最善5枚には使いません。
Dは手札のAとKを1枚ずつ使い、共有のQ♠・J♠・10♠を加えたAハイのストレートが最善です。たとえば次の5枚で、手札2枚+共有3枚の条件を満たします。
Dの手札にあるA・Kはハートかダイヤなので、5枚同じスートのフラッシュにはなりません。Cのストレートフラッシュが勝ち、ポット4をCがすべて受け取ります。
| 人 | 42手目終了後 | 43手目に出した合計 | 43手目の受取 | 43手目終了後 |
|---|---|---|---|---|
| A | 1,000 | 0 | 0 | 1,000 |
| B | 1,000 | 0 | 0 | 1,000 |
| C | 1,000 | 2 | 4 | 1,002 |
| D | 1,000 | 2 | 0 | 998 |
| E | 1,000 | 0 | 0 | 1,000 |
| F | 1,000 | 0 | 0 | 1,000 |
| 合計 | 6,000 | 4 | 4 | 6,000 |
42手目と43手目は、別の配札・別の共有札のハンドです。見た目が似た共有札でも、現在種目に応じた使用枚数を守ることで結果が変わります。
最初は種目名と判定条件を結びつけて覚える
覚えるときは、現在の種目→使える枚数→ハイ/ロー→ベット上限の順に確かめます。「オマハだから2+3」「RazzだからA-5ロー」「NLHEからPLOなので上限も変わる」と結びつけると、切替を追いやすくなります。
そのうえで、配札・交換の細則や例外を種目ごとに学びます。共通の役や行動を確認したい場合は、ポーカーの基本ルールから振り返れます。
ミックス全体の入口で大切なのは、種目名を並べて覚えることに加え、次のハンドにどの条件を適用するかを確認できることです。

