勝つ確率とエクイティは、引き分けの扱いが違う
エクイティは、追加ベットなしで最後までカードを開いたときに期待できる、ポットの取り分の割合です。相手に勝つ確率だけでなく、引き分けた場合の取り分も含みます。
2人で争い、引き分けを半分ずつ分ける場合は、次の式です。
エクイティ = 勝つ確率 + 引き分ける確率 × 1/2
| 結果 | 確率 | その結果で得るポットの割合 | エクイティへの寄与 |
|---|---|---|---|
| 勝つ | 30% | 100% | 30ポイント |
| 引き分け | 20% | 50% | 10ポイント |
| 負ける | 50% | 0% | 0ポイント |
| 合計 | 100% | — | 40% |
この例の勝利確率は30%、エクイティは40%です。計算機に「勝率」と表示されていても、勝ちだけなのか、引き分け込みなのかを確認します。この定義と手札・レンジ別の比較は、GTO Wizardの公式解説でも扱われています。

計算には、相手とボードの条件が必要
「AKの勝率は何%?」という質問だけでは数値を1つにできません。相手がAAなのか、QJなのか、複数の候補を持つのかで変わるからです。
| 比較の種類 | 指定する情報 | 数値の意味 |
|---|---|---|
| 手札対手札 | 双方の手札、スート、ボード | 指定した相手の手札に対する取り分 |
| 手札対レンジ | 自分の手札、相手候補と重み、ボード | 候補全体に対する平均の取り分 |
| 複数人 | 各相手の手札やレンジ、人数、ボード | 全員と争った場合の取り分 |
フロップ時点なら残りのターン・リバー、ターン時点なら残りのリバーの候補を調べます。相手の手札まで分かっている例では、その札を残りの山札から除きます。
リバーまで開いた特定の手札同士なら、役の比較で勝ち・引き分け・負けが確定します。一方、リバーでも相手をレンジで表しているなら、どの候補を持つかが未確定なので、レンジに対する割合は残ります。
3人以上では、引き分けの取り分も場合分けする
3人でポットを争い、3人全員が同じ最善5枚なら、各自の取り分は1/3です。自分と相手1人だけが同率の勝者なら1/2です。
引き分けはすべて半分、と固定しないでください。サイドポットがある場合も、誰がどのポットを争えるかを分けて計算します。仕組みはオールインとサイドポットで確認できます。
ドローが完成する確率と、相手に勝つ確率は違う
アウツは、手を改善させる残りカードを考えるための数え方です。ただし、狙った役ができても相手の役に負けることがあります。
たとえばフラッシュの待ちが9枚あっても、同時に相手へフルハウスやフォーカードを作る札は、勝つための候補から除く必要があります。
相手の手札まで分かる例:9枚待ちでも、勝つのは7/44
自分の手札
相手の手札
ターンまでの共通カード
相手はQのスリーカード、自分はハートのフラッシュ待ちです。双方の手札4枚とボード4枚が既知なので、リバーの候補は52−8=44枚です。
| リバーの候補 | 自分と相手の変化 | 勝敗 |
|---|---|---|
| Q♥ | 自分はフラッシュ、相手はQのフォーカード | 負け |
| 9♥ | 自分はフラッシュ、相手はQ・Q・Q・9・9 | 負け |
| 3♥・4♥・5♥・6♥・8♥・10♥・J♥ | 自分のフラッシュが相手の役に勝つ | 勝ち |
| その他のリバー | 自分は相手のスリーカード以上を越えられない | 負け |
勝つ札は7枚、引き分けはありません。したがって、この対戦条件のエクイティは7÷44≒15.91%です。
自分の手札とボードしか知らないときの「9枚のハート÷46枚」という完成率とは、分母も、勝つ札の数も違います。アウツの基本はアウツの数え方で確認できます。
4倍・2倍は、残りカードに応じた概算
特定の待ち札が何枚あるか分かるとき、次の近似が使われます。
| これから見るカード | 近似 | 4枚待ちの例 |
|---|---|---|
| 次の1枚 | アウツ×2% | 約8% |
| フロップからリバーまで2枚 | アウツ×4% | 約16% |
自分の2枚とフロップ3枚だけが既知なら、4枚待ちを次のターンで引く正確な率は4/47≒8.51%。2枚のうち少なくとも一度引く率は、1−(43/47)×(42/46)≒16.47%です。
この近似は、指定した札を引く率の目安として使います。汚れたアウツを含む場合、相手の札が既知の場合、バックドアのように2枚とも条件を満たす必要がある場合には、そのまま当てはめません。
また、フロップでコールした後にターンでも支払う可能性があるなら、リバーまでの完成率だけでコールを正当化できません。詳細はドローとボードの読み方で確認できます。
相手レンジの候補と重みで、エクイティは変わる
リバーの例なら、残りカードの列挙なしでレンジの意味を確かめられます。
共通カード
自分の手札
相手候補を、説明用に「A♦ J♣」と「7♦ 7♥」の2組だけとします。自分はAJのペアには勝ち、77のスリーカードには負けます。
| 相手候補の仮定 | 計算 | 自分のエクイティ |
|---|---|---|
| 2組を等しい重みで持つ | 1/2で勝ち、1/2で負け | 50% |
| AJの候補を77の3倍の重みで持つ | 3/4で勝ち、1/4で負け | 75% |
これは相手を正確に読み切った主張ではなく、入力する仮定で答えが変わることを示す例です。実際には相手がその候補で同じ行動をするかも考える必要があります。レンジ表の読み方はハンドレンジへ進めます。
計算機へ入力するときのチェック表
| 確認項目 | 間違えやすい点 |
|---|---|
| 種目 | ホールデムとオマハは手札の使い方が違う |
| 人数 | 1人相手の数字を多人数へ流用しない |
| カード | ランクだけでなくスートも入力。重複させない |
| ボード | 現在のストリートまでの札を指定する |
| 相手 | 特定手札かレンジか、候補の重みはいくつか |
| 除外札 | 分かっている札だけを除く。相手札を都合よく推測して除かない |
| 表示 | 勝ち・引き分け・エクイティのどれか |
| 計算法 | 全列挙か抽出試行か。試行による近似なら実行ごとに揺れうる |
エクイティだけでは、コールの利益は決まらない
エクイティは「最後までカードを開く」という条件の取り分です。まだベットが残っていれば、途中で降ろされる、追加額を払う、相手を降ろして勝つといった行動が加わります。
GTO Wizardの公式ツール説明も、エクイティ、EV、エクイティ実現率を別の指標にしています。高い取り分を持つことと、その行動が最も得であることは同じではありません。
数字を判断へつなげるときは、コール額と最終ポットに加え、後続のベットや相手のレンジを確認します。取り分の割合から追加損益を計算する手順は期待値の解説で扱います。

