ハイローはハイと資格のあるローへ分配する

ハイロー(Hi/Lo)は、通常の役の強さを競うハイと、低い組合せを競うローにポットを分ける方式です。本稿の主例「オマハ8」では、ハイに半分、資格を満たした最善のローに半分を分配します。ローが誰にも成立しなければ、ハイの勝者が全部を受け取ります。

オマハ8ではローが成立すればハイと最善ローへ各半分、成立しなければハイへ全部を分配する図

ポットとは、その局で全員が出したチップの集まりです。ハイローは一つの配札方法だけを指す名前ではなく、オマハやスタッドなどに組み合わせる分配方式です。「ローの資格」「何枚から何枚を使うか」は、種目ごとに確認します。

ここでは、PokerStars公式のオマハ・ハイローを基に、私有札4枚・共有札5枚のOmaha Hi/Lo Eight-or-Better(オマハ8)を説明します。私有札は各自だけが使う札、共有札は全員が使える場の札です。

ハイの役は、強い方からストレートフラッシュ、フォーカード、フルハウス、フラッシュ、ストレート、スリーカード、ツーペア、ワンペア、ハイカードの順です。ハイの取り分には、ローのような最低役の資格条件はありません。全員の中で最善なら、ワンペアやハイカードでも勝者になります。一般的な役の見方はポーカーの基本ルールも参照してください。

オマハ8のローは8以下の異なる5枚で比べる

オマハ8では、ハイもローも私有札ちょうど2枚+共有札ちょうど3枚で5枚を作ります。ハイ用とロー用の組合せは、別々に選べます。同じカードを両方で使っても構いません。

Aの私有4枚と共有5枚から、ハイはAs KhとKs Kd 8s、ローはAs 2sと3h 4d 8sを独立して選ぶ図

図のAは、ハイに私有札のA♠・K♥、ローにA♠・2♠を使っています。共有札も、ハイはK♠・K♦・8♠、ローは3♥・4♦・8♠と選び直します。A♠や8♠を片側で使っても、もう片側で使えなくなるわけではありません。私有札1枚+共有札4枚や、共有札5枚だけでは役を作れません。

ローの成立条件と比べ方

ローに参加するには、選んだ5枚がすべて8以下で、数字が重複しない必要があります。Aは1として扱い、ストレートやフラッシュはローの評価を下げません。

選んだ5枚オマハ8のローとしての判定
8・4・3・2・A成立。すべて8以下で、5種類の数字
9・4・3・2・A不成立。9を含む
8・4・3・2・2不成立。選んだ5枚にペアがある
5・4・3・2・A成立。最善のロー「ホイール」

たとえば、次の5枚は同じスートで連続していますが、ローでは最善の5-4-3-2-Aです。ハイではストレートフラッシュになります。ただし、オマハの実際の配札では、この5枚も私有2枚+共有3枚から作る必要があります。

私有札4枚にペアがあっても、それだけでロー失格にはなりません。ペアにならない別の2枚を選び、共有3枚と合わせて条件を満たせるかを見ます。また、共有札に8以下の異なる数字が3種類なければ、誰も2+3でローを作れません。

成立したロー同士は、高い札から順に比べ、最初に違った数字が低い方の勝ちです。5枚の合計値は使いません。

ロー最高の札次の札比較結果
A・Bの8-4-3-2-A848が同じなので次を比較。4が低く、こちらが強い
Cの8-6-5-4-386ローの資格はあるが、8-4ローに負ける

数字がすべて同じなら同点です。スートの違いで勝敗を付けません。Golden Nuggetの公式ルール1.6も、オマハ8の独立した2+3選択と8以下の資格を定めています。

配札と行動順を決めて一局を始める

ここからは、換金しない点数チップを使う独自教材で一局を追います。実戦や取材の再現ではありません。ジョーカーなしの52枚1組を用意し、3人とも100点から開始します。

教材の条件設定
種目・賭け方4枚のオマハ8、固定リミット
小さいベット単位/大きいベット単位2点/4点
スモールブラインド(SB)/ビッグブラインド(BB)1点/2点
アンティ・手数料ともに0点
席順時計回りにA→B→C。Aがボタン

ボタンは、その局のディーラー位置を示す目印です。左隣、つまり時計回りの次の席BがSB1点、さらに次のCがBB2点を強制的に出します。この3点が最初のポットです。

時計回りの席順Aボタン、Bスモールブラインド1点、Cビッグブラインド2点と、プリフロップAから、以後Bからの行動順

札をシャッフルしてカットしたら、B→C→Aの順に伏せ札を1枚ずつ配り、4周して全員に私有札4枚を渡します。最初の行動はBBの左隣Aからです。フロップ以後は、ボタンの左にいる参加者Bから始めます。

ベッティングの回公開する共有札この例の開始席ベット・レイズの単位
プリフロップまだ0枚A2点
フロップ一度に3枚B2点
ターンさらに1枚、計4枚B4点
リバーさらに1枚、計5枚B4点

共有札を出す前には、山札の一番上を1枚伏せて除くバーンを行います。各回の行動が終わってから次の共有札へ進みます。固定リミットの2点/4点は、手元の全額やポット額を自由にベットする方式とは異なります。

行動名も確認しておきましょう。ベットはその回の最初の賭け、コールは現在の賭け額に足りない分を出すこと、レイズは賭け額を増やすことです。チェックは追加なしで順番を回す行動で、その回にまだ賭けがないか、BBのように必要額をすでに満たしているときに選べます。フォールドはその局の勝負を降りることです。

一局のハイとローを判定してポットを分ける

以下が教材に使う全員の私有札です。実際には本人以外には見えませんが、判定を追えるようすべて示します。

人・位置私有札4枚
A・ボタン
B・SB
C・BB

共有札は左から、フロップ3枚、ターン1枚、リバー1枚です。

バーン札はフロップ前2♣、ターン前7♦、リバー前J♦とします。私有札12枚+共有札5枚の17枚、バーンを含む20枚に同一カードの重複はありません。バーン札は役の判定には使いません。

4回の行動でポットは6→12→24→24点

誰もフォールドせず、レイズも行わない進行にします。表の「追加」は、その行動で手元から新たに出す点数です。

回行動追加ポット累計
準備BがSB1、CがBB2を出す計3点3点
プリフロップAがコール2点5点
プリフロップBがコール。既払い1点に追加1点6点
プリフロップCがチェック。BB2点で必要額を満たす0点6点
フロップBがベット2点8点
フロップCがコール2点10点
フロップAがコール2点12点
ターンB、Cが順にチェック0点12点
ターンAがベット4点16点
ターンBがコール4点20点
ターンCがコール4点24点
リバーB→C→Aが全員チェック0点24点

各人の拠出は、プリフロップ2点+フロップ2点+ターン4点=8点です。3人分で24点になります。リバーで誰もベットしていないため、この教材で採用した公式手順ではBから私有札4枚を公開し、ショーダウン(札を見せて勝敗を決める段階)へ進みます。

ハイとローを別々に判定する

人ハイに使う私有2枚+共有3枚ハイの最善5枚
AA♠・K♥ + K♠・K♦・8♠K・K・K・A・8。Kのスリーカード
BA♣・Q♥ + K♠・K♦・8♠K・K・A・Q・8。Kのワンペア
C9♥・T♠ + K♠・K♦・8♠K・K・T・9・8。Kのワンペア

ハイはAのスリーカードが勝ち、ポットの半分12点を取ります。BとCのワンペアより強い役だからです。残り2枚のAと8は、同じスリーカード同士を比べる際に使う札です。

人ローに使う私有2枚+共有3枚ローの最善5枚
AA♠・2♠ + 3♥・4♦・8♠8-4-3-2-A
BA♣・2♦ + 3♥・4♦・8♠8-4-3-2-A
C5♣・6♣ + 3♥・4♦・8♠8-6-5-4-3

ローは3人とも成立しますが、AとBが最善で同点です。Cは「8があるロー」という点では同じでも、次の数字6がA・Bの4より高いため負けます。ローの12点を、成立した3人へ4点ずつ配るわけではありません。

24点のうちハイ12点はA、ロー12点はAとBへ6点ずつ。合計A18点、B6点、C0点

人ハイからローから受取合計分配後の残点
A12点6点18点100−8+18=110点
B0点6点6点100−8+6=98点
C0点0点0点100−8=92点

受取は18+6=24点、残点は110+98+92=300点です。一局を終えたら、ボタンは次の席Bへ時計回りに移ります。

スクープ・クォーター・ノーロー・同点の違い

分配は「ハイの勝者」と「最善ローの勝者」を先に決めて計算します。ローの資格があるだけで、取り分が約束されるわけではありません。

呼び方・状態24点の教材での分配決め手
主例のクォーターA18点、B6点、C0点Bはロー半分のさらに半分だけを受領。全体の1/4
スクープA24点、B・C0点Aがハイとローの両方を単独で取る
ノーローA24点、B・C0点資格ローが誰にもなく、ハイが全部を取る
両側とも2人同点A12点、B12点ハイ12点もロー12点も、それぞれ6点ずつ

クォーターは主例のBの状態です。ローの半分をAと分けるので、12÷2=6点、ポット全体では24÷4=6点になります。Aはハイ12点も持つため合計18点です。「ハイとローがあるから各人の受取は必ず半分」ではありません。

スクープとノーローをカードで確かめる

スクープの補助例では、主例のBのA♣・2♦だけを7♣・7♠へ置き換えます。Bの私有札は次の4枚になり、他の札・進行・ポット24点は同じとします。

Bの私有札で8以下の数字は7だけなので、異なる数字の2枚を選べず、ローを作れません。Cの8-6-5-4-3はAに負けます。ハイもAのKのスリーカードが勝つため、Aがハイ12点+ロー12点=24点をスクープします。

ノーローの補助例では、主例の共有札8♠だけをQ♠へ置き換えます。共有札は次の5枚になり、私有札は主例のままです。

8以下の異なる共有札が3♥・4♦の2種類しかないため、誰も私有2枚+共有3枚で資格ローを作れません。ロー用の12点を保留したり、資格のない「一番低い組合せ」に渡したりせず、ハイの勝者へ24点全部を渡します。

このときAの最善ハイは、私有K♥・Q♣と共有K♠・K♦・Q♠によるKフルQ(K・K・K・Q・Q)です。主例と共有札が変わったため、ハイも改めて選び直します。

同点はハイ側・ロー側ごとに分ける

両側が同点になる別の2人教材を見ます。すでにポット24点ができたショーダウンだけを比べる例で、上の3人局とは別です。

対象カード
Aの私有札
Bの私有札
共有札

ハイはAがA♠・Q♠、BがA♣・Q♥と、共有K♥・K♦・8♦を選び、どちらもK・K・A・Q・8です。ローはそれぞれのA・2と共有3♠・4♥・8♦で、どちらも8-4-3-2-Aになります。
ハイ12点を6点ずつ、ロー12点も6点ずつに分けるので、各人の受取は6+6=12点です。スートで差は付きません。割り切れない端数チップの扱いは、採用する卓・大会の公式規則で確認してください。この教材はすべて整数で割り切れる点数にしています。

ビッグオー・スタッド8・ラズと混同しない

オマハ8の「2+3」「8以下」という条件を、ハイロー全体へ広げないようにします。名称が似ていても、配札とローの資格が違います。

種目・採用範囲各自に配る札/共有札最善5枚の作り方ローの条件・分配
本稿のオマハ8私有4枚/共有5枚ハイもローも私有2+共有38以下の異なる5枚。ハイ・ロー各半分
ビッグオー(本稿の5枚オマハ8)私有5枚/共有5枚5枚に増えても私有2+共有38以下の資格を維持。ハイ・ロー各半分
スタッド8各自7枚/通常の共有札なし各自の7枚から最善5枚。2+3を使わない8以下の異なる5枚。ハイ・ロー各半分
ラズ各自7枚/通常の共有札なし各自の7枚から最善ロー5枚8以下の資格なし。ローだけでポット全部

5枚オマハ・ハイローの公式説明でも、私有札5枚から使うのはちょうど2枚です。Golden Nugget公式1.6の印刷15ページは、この5枚の変種を「The Big O」としています。人数やベット方式まで、名称だけで全卓共通とは判断できません。

スタッド8は各自に最初2枚伏せ+1枚表で配り、その後も個人の札が増えて7枚になります。ラズも7枚から5枚を選びますが、ハイとの分配はなく、8以下にそろわなくてもローの勝者を決めます。ラズではペアはローの評価を下げますが、オマハ8の資格失格とは別の扱いです。

さらにGolden Nugget公式1.6には、Omaha High Low Regularはローの資格条件なしという別版も記載されています。「ハイロー」という総称だけでオマハ8の規則を当てはめず、種目名、私有札枚数、使用枚数、ローの資格、ベット方式をセットで確認すると混同を防げます。