GTOは、互いに一方的な変更で得をしない均衡を考える

GTOはGame Theory Optimalの略で、ゲーム理論に基づく均衡戦略を指す言葉です。ナッシュ均衡は、ほかの人の戦略が固定されたとき、誰も自分だけ戦略を変えて期待値を上げられない状態です。GTO Wizard公式の説明

ここでいう戦略は、「AAを持ったらレイズ」のような一つの動作だけでなく、持ち得る手札全体で、各状況にどう行動するかという計画です。相手もその計画に対して最適に応じることを考えます。

GTOは、全ての勝負で利益が出る保証ではない

2人ゼロサムゲームでは、正確な均衡戦略が相手の変更に対して守るゲームの価値を考えられます。しかし、多人、レーキのあるゲーム、大会の賞品配分、計算の近似などへ、そのまま同じ保証を広げることはできません。均衡での期待値自体が、参加者全員にとってプラスになるわけでもありません。

また、期待値と有限回の結果は別です。正しい前提で良い判断をしても、その一局や短期間で負けることはあります。多人ポーカー研究も、2人ゼロサムの理論保証と6人ゲームの性能を区別しています。Brown・Sandholmの原著研究

小さなリバー模型で、混合戦略を確かめる

実際のホールデムより選択肢を減らした、独自の計算模型を考えます。

模型の条件内容
現在のポット100点
攻める側の手必ず勝つ強い手と、必ず負ける弱い手が各50%
守る側の手強い手に負け、弱い手に勝つ中間の手
攻める側の選択チェックして終了、または100点ベット
ベット後の選択守る側はコールかフォールド
省く要素レイズ、追加カード、引分、レーキ

これは実戦の一局のソルバー出力ではなく、混合と無差別を確かめるための限定ゲームです。期待値は現在から増減する点数で考え、すでにポットに入った分を再び費用に数えません。

強い手は全て、弱い手は半分だけベットする

100回分の配布を割合で表すと、次のようになります。実際の100回でぴったり同じ回数になるという意味ではありません。

手の種類配布の割合ベットの割合ベットへ回る量
強い手50全て50
弱い手50半分25

ベットの内訳は、強い手50:弱い手25=2:1です。守る側は、ベットされた後なら3分の1で弱い手、3分の2で強い手に向き合います。

独自のリバー模型で強い手と弱い手を50ずつとする。強い手50は全てベットし、弱い手50はベット25とチェック25に分ける。ベット内は強い手50と弱い手25で2対1になる。

コールとブラフの期待値が、互いに無差別になる

守る側が100点コールすると、弱い手に勝ったときは元のポット100と相手の100を得て、差引+200。強い手に負けたときは、追加した100を失って−100です。

コールEV=1/3×200−2/3×100=0

フォールドの追加損益も0なので、この構成ではコールとフォールドが無差別です。

さらに守る側が半分コール、半分フォールドすると、攻める側の弱い手のブラフは次の期待値になります。

ブラフEV=1/2×100−1/2×100=0

チェックして負ける場合の追加損益0と同じです。強い手は、コールしてもらえばチェックより多く得られるので、全てベットする方を選びます。この組合せなら、自分だけ変えて期待値を改善できません。

頻度を自由に変えてよい、という意味ではない

弱い手を全てベットへ回すと、ベット内の強弱は1:1になります。守る側のコールEVは、

1/2×200−1/2×100=+50

となり、コールを増やす理由ができます。混合戦略は「どちらもあるから、好きな頻度でよい」ではありません。相手の反応と、レンジ全体の割合が結びついています。

ソルバーの解は、入力したゲームの条件付き

ソルバーは、決めたゲームの中で戦略を計算するものです。出てきた「ベット60%・チェック40%」などの頻度を読む前に、次を照合します。

条件取り違えると起きること
種目・人数・位置行動順や持ち得る手が変わる
それまでの行動とレンジ同じ手札でも、相手の候補が変わる
ボード役、ドロー、ブロッカーが変わる
ポットと残りスタック必要勝率や使えるサイズが変わる
許可するベット・レイズ比較する選択肢自体が変わる
レーキ・賞品配分チップの増減と評価する価値が変わる
近似精度・簡略化表示の小差を厳密な差と読めない場合がある

これらを定めたアクションの枝分かれを、ゲーム木と呼びます。限定したサイズだけの木で得た解は、その外の全サイズを比較した証明ではありません。ソルバーの入力と制約

「ポーカーが完全に解かれた」とは別

研究で大きな成果があるのは事実ですが、例えばCepheusの研究対象はヘッズアップ・リミット・テキサスホールデムです。全人数のノーリミットや、全てのポーカー種目が同じ意味で解決したわけではありません。Tammelinほかの原著論文

実戦用の解を見るときも、「GTOだからどんな前提でも正解」ではなく、条件と近似の範囲を読みます。

GTOとエクスプロイトを学習に使い分ける

GTOを学ぶと、相手の詳しい情報が少ないときの基準を整理できます。エクスプロイトは、相手が特定の条件で降りすぎる・コールしすぎるなどの傾向を利用し、基準から調整する考え方です。

先ほどの模型でも、相手が弱い手を多すぎる頻度でベットするなら、コールを増やす調整を考えられます。ただし実戦では、相手の傾向という仮定自体が正しいか、相手も変化していないかを確認する必要があります。相手の観察とエクスプロイトで手順を説明しています。

実戦終了後に、一局ずつ復習する

  1. 記録する:人数、位置、手札、ボード、各額と残りスタックを残す。
  2. 前提をそろえる:参照する解のレンジ・サイズ・費用と照合する。
  3. 理由を言葉にする:自分の手だけでなく、相手と自分の候補全体を見る。
  4. 類題を試す:ボードやスタックが変わると理由も変わるか確認する。

保存済みの解を参照することと、任意の条件を入力して新しく解くことは別の機能です。保存済みの近い局面を見る場合も、自分の一局と完全一致しているとは限りません。

この学習は実戦終了後に行います。卓上での戦略ツール利用には大会等の制限があります。まずハンドレンジやポットオッズを説明できる状態にし、頻度の暗記だけで終わらせないことが大切です。