トゥワイスは残りの共通札を2回配る
ランイットトゥワイス(Run It Twice)は、まだ配っていない共通札を2回配り、ポットを半分ずつ分配する方法です。手札と、合意時点までに出た共通札は変わりません。

たとえば、最初の共通札3枚であるフロップの後に合意したら、4枚目のターンと5枚目のリバーを2組配ります。上図のフロップは1組だけで、右側の2組がそれを共有します。
最初から別のハンドを2回始めるわけでも、1回目の結果を見てからやり直すわけでもありません。この残りの共通札の展開を「ランアウト」と呼びます。
ポットは、参加者が出したチップの集まりです。以下は通常の52枚を使うテキサスホールデムを、換金しない点数で説明する教材です。120点のポットなら、1回目に60点、2回目に60点を割り当て、それぞれ別に勝者を決めます。
使える条件とカードの扱い
本記事の主例は、フロップ後に追加の判断がすべて終わり、対象ポットを競う2人が2回配ることに合意した局面です。残札は十分にあり、追加費用と端数はないものとします。
具体的な配り方は、California Department of Justiceが公開するLucky Chancesの「Texas Hold’em 2.0」2018年承認版(PDF実ページ154~156、印刷ページ5~7)を参照しています。この版では、1人以上のオールインによって追加の判断がなくなり、次のカードを配る前に合意することを条件としています。全員の残りチップが必ずゼロであることとは区別してください。メインポット、または特定のサイドポットだけを対象にする合意も記載されています。Lucky Chances承認規則
どの部分を2回配るかは、合意した時点で変わります。
| 合意した時点 | そのまま使う共通札 | 各回に新しく配る共通札 |
|---|---|---|
| フロップ前 | なし | フロップ3枚+ターン1枚+リバー1枚 |
| フロップ後・ターン前 | フロップ3枚 | ターン1枚+リバー1枚 |
| ターン後・リバー前 | フロップとターンの4枚 | リバー1枚 |
主例では、ディーラーが管理する同じ山札の残り(スタブ)から、1組目のターン・リバー、続いて2組目のターン・リバーを配ります。各ストリートの前には、山札の一番上のカードを伏せて除くバーンを行います。手札、出た共通札、すでに使ったバーンカードを山札へ戻すことはありません。図でフロップを共用するのは、同じカードをもう1枚配るという意味ではありません。
ただし、これを「あらゆる場面で再混合がない」と一般化することはできません。同じ2018年版の実ページ156には、バーンカードを混ぜ直す配布手順も記載されています。主例ではその手順を使いません。残札が足りない場合の処理は、人数だけで推測せず採用規則を確認します。
オンラインの条件とも区別が必要です。PokerStarsの現行ヘルプは、全員がオールインした場合の機能として説明し、アクティブな参加者の1人でも有効にしていなければ1回配るとしています。同ページでは追加レーキがないとも説明していますが、この条件を他会場へそのまま移すことはできません。PokerStarsのRITヘルプ
2回の勝敗とポットの分配
冒頭の図を、手札を含めて確認します。2人の手札と共通フロップは次のとおりです。
| 対象 | カード |
|---|---|
| Aの手札 | |
| Bの手札 | |
| 共通フロップ | |
| 1回目の追加札 | |
| 2回目の追加札 |
ホールデムでは、自分の手札2枚と、その回の共通札5枚の合計7枚から最も強い5枚を使います。2回目の判定に、1回目だけのターン・リバーを混ぜることはできません。
| 回 | 人 | 最善の5枚 | できる役 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | A | Aのフルハウス | |
| 1回目 | B | Kのフォーカード | |
| 2回目 | A | Aのスリーカード | |
| 2回目 | B | Kのワンペア |
1回目は、フォーカードのBが60点を受け取ります。2回目は、スリーカードのAが60点を受け取ります。最終受取はAが60点、Bが60点で、合計は元の120点です。
2人だけで同点がなければ、受取は次のようになります。2回にするだけで必ず半分を受け取れるわけではありません。
| Aから見た結果 | Aの受取 | Bの受取 |
|---|---|---|
| 2回とも勝つ | 120点 | 0点 |
| 1回ずつ勝つ | 60点 | 60点 |
| 2回とも負ける | 0点 | 120点 |
同点・サイドポット・端数は分けて考える
同点になった回の分だけを等分する
同点なら、その回に割り当てたポットを同点者で分けます。片方が同点だからといって、ポット全体を最終的に折半するとは限りません。
次は主例とは別の局面です。Aの手札は 、Bは 。共通フロップを とします。ポットは同じく120点です。
| 回 | 追加札 | 勝敗と60点の行き先 |
|---|---|---|
| 1回目 | 共通札だけでAハイのストレート。A・Bが30点ずつ | |
| 2回目 | Bの3のワンペアがAの2のワンペアに勝ち、Bが60点 |
1回目の最善5枚は、2人とも です。最終受取はAが30点、Bが90点になります。
サイドポットは参加資格ごとに判定する
サイドポットは、チップを出した量の違いによって、競える人を分けた別のポットです。役が最も強い人でも、参加資格のないポットは受け取れません。

ここからは3人の別例です。既に出した点数はAが60点、Bが60点、Cが30点で、追加の判断は終わっています。各人の30点ずつを集めたメイン90点はA・B・Cが競い、A・Bが追加で出した30点ずつのサイド60点はA・Bだけが競います。両ポットについて関係者が2回配ることに合意済みとします。
| 対象 | この別例のカード |
|---|---|
| Aの手札 | |
| Bの手札 | |
| Cの手札 | |
| 共通フロップ | |
| 1回目/2回目の追加札 | / |
1回目はBのKのフォーカードが最強なので、メインの半分45点とサイドの半分30点を受け取ります。2回目はCのQのスリーカードが全体では最強ですが、Cはサイドを競えません。サイドではAのAのワンペアがBのKのワンペアに勝ちます。
| 分配対象 | 1回目の受取人 | 2回目の受取人 |
|---|---|---|
| メイン90点(各回45点) | B:45点 | C:45点 |
| サイド60点(各回30点) | B:30点 | A:30点 |
最終受取はAが30点、Bが75点、Cが45点で、合計150点です。
一部のサイドポットだけを2回にする場合も、対象と合意の範囲を分けて確認します。サイドだけの合意を、メインにも当然に適用できるとは考えません。
端数には別々の確認が必要
教材はすべて割り切れる点数ですが、実際の規則では最小単位による端数が生じる場合があります。ポットを2回分へ分割するときの端数と、同じ回を同点者で分けるときの端数は別の問題です。
Lucky Chancesの参照版には、同点時の奇数チップをディーラーボタンの左に最も近い勝者へ渡す規定があります。その一文だけで、2回へ分ける段階の端数も「必ず1回目へ」などと決めることはできません。採用規則の最小単位と端数の割当先を確認します。
期待値と分散は何が違うか
トゥワイスで変わるのは、主に1回の結果で受取が大きく振れる度合いです。2回にすることで、全部を取る・何も取れない以外に、半分を取る結果が生まれます。
期待値は、同じ条件を何度も繰り返したと考えたときの平均受取です。分散は、受取がその平均からどの程度散らばるかを表す数値です。
同じ対象ポットを等分し、各回のカードの見込みが同じで、追加費用と端数がなければ、2回にしても平均受取は変わりません。半分のポットを2回分受け取るのであり、ポット全体を2回受け取るわけではないためです。
別のターン局面で、平均と散らばりを確かめる
ここでは、主例とは異なるターン後の局面を使います。Aは 、Bは 、共通札は です。
手札と共通札の8枚だけが既知で、ほかに既知の使用不能札はないとします。未知の44枚のうち、Bが勝つリバーは の2枚だけで、同点はありません。1回配るなら、Bの勝つ見込みは2/44=1/22、約4.55%です。
同じ1組の残札からリバーを2回、戻さず抽出するモデルでは、順番を区別した組合せは44×43=1,892通りです。見えていないバーンカードなどの位置を平均化した計算で、バーンカードを実際に山札へ戻すという意味ではありません。
| Bの受取割合 | 1回配る場合 | 2回配る場合 |
|---|---|---|
| 0(受取なし) | 42/44 ≒95.45% | 1,722/1,892 ≒91.01% |
| 1/2(ポットの半分) | 0 | 168/1,892 ≒8.88% |
| 1(ポット全部) | 2/44 ≒4.55% | 2/1,892 ≒0.106% |
| 平均受取割合 | 1/22 ≒4.55% | 1/22 ≒4.55% |
2回では、全部を受け取る結果は減り、半分を受け取る結果が加わります。少なくとも一部を受け取る確率は高くなっても、平均受取が増えたことにはなりません。
| 平均からの散らばりの指標 | 1回 | 2回 |
|---|---|---|
| 受取割合の分散 | 約0.04339 | 約0.02119 |
| 1回の分散に対する比 | 1 | 21/43 ≒0.488 |
この局面では分散が小さくなりますが、「常に厳密に半分」とは言えません。同じ山札から戻さず配る2枚は独立ではないためです。1回目に出たカードは2回目には残っておらず、両方を別々の新品デックから配る計算とは異なります。
ここでの44枚・1,892通り・21/43は、このターン局面の検算値です。フロップから2枚ずつ配る主例や、同点・既知の使用不能札がある局面へ、その数値を流用しないでください。
インシュランスとキャッシュアウトの違い
インシュランス(保険)は、トゥワイスの別名ではありません。保険料と、特定の事象が起きたときの別の支払いを持つ仕組みです。キャッシュアウトも、残りカードを2回配る方式とは異なります。
| 方式 | 何を変えるか | 受取を決めるもの |
|---|---|---|
| トゥワイス | 既存のポットを2回分に分ける | 各回の勝敗 |
| インシュランス | 対象事象に対する別の支払いを設ける | 保険料・補償対象・除外条件などの契約 |
| キャッシュアウト | ポットに対する持分を確定額へ置き換える方式の例 | 提示額・費用・権利の扱いなどの条件 |
GGPokerの公開説明では、premium(保険料)、payout(支払額)、odds(倍率)を分けて示しています。また、逆転を起こすカード候補であるアウト、同点カード、対象ストリート、複数ポットの条件に加え、その後の強制適用に関する注意もあります。名称だけから「負けたら無条件に全額戻る」「毎回自由に終了できる」とは判断できません。GGPokerの公開説明
保険を読むときは、次の項目を別々に確認します。
| 確認する項目 | 分けて読む理由 |
|---|---|
| 対象ストリート・カード・同点 | 起きた結果が補償対象とは限らないため |
| メイン/サイドの対象範囲 | すべてのポットに同じ条件が付くとは限らないため |
| 保険料・精算時点・支払額の定義 | 支払額が受取総額か純額かで意味が変わるため |
| 除外条件・その後の強制継続 | 最初の選択だけでは支払い全体が決まらない場合があるため |
一方、PokerStarsのAll-in Cash Outの公開説明では、選択した人は提示された確定額を受け取り、以後そのポットを競う権利を失います。選ばなかった相手は、引き続きショーダウンで勝つ必要があります。費用も定められており、保険の条件付き支払いとは異なる方式です。PokerStarsのCash Out説明
追加費用なしのトゥワイスについて説明した「平均受取は同じ」を、保険やキャッシュアウトへ移すことはできません。費用と支払いの条件が異なるからです。ここでは概念を比較しており、保険の購入額やサービスの利用を勧めるものではありません。
採用ゲームと提供条件を確認する
仕組みを理解できても、すべてのゲームで同じ手順を使えるわけではありません。種目と対象卓、合意する人と対象ポット、配る回数、バーン・残札不足・端数、追加費用は、実際に採用する規則で確認します。キャッシュかトーナメントかも含め、名称だけで可否を決め付けません。
本記事の具体的手順は2018年承認版、オンライン機能の説明は2026年10月26日に確認した公開ページに基づきます。古い承認規則が現在の提供を保証するわけではなく、公開説明だけで個人に適用される契約も確定しません。地域別の提供・利用条件や法令は、各地域の公的情報と現行規約で別に確認する必要があります。本記事は日本その他の地域からの利用可否や個別の適法性を判断していません。
オールインまでの参加ハンドやベット判断を学ぶ場合は、ポーカーの判断と復習の基本も参照してください。

