GTO Wizardは、条件をそろえて戦略を学ぶツール

GTO Wizardの使い方は、Studyで戦略を参照し、Practiceで判断を練習し、Analyzeで終了後の履歴を振り返る、という三つに分けると整理できます。どの結果も、選んだ種目・人数・スタックなどの条件と一緒に読みます。

条件をそろえ、Study・Practice・Analyzeから学び方を選び、終了後に結果を振り返る流れ

この記事で扱う「ウィザード」は、正式名GTO Wizardという製品です。提供元はチェコのamagama s.r.o.です。GTOはゲーム理論上の均衡を基準にした戦略を指します。表示されるのは、設定したモデルの戦略であり、目の前の相手の行動を予言するものではありません。提供元と教育サービスとしての位置づけ

対象にはテキサスホールデムのCash・MTTなどがあり、現在はPLO4も提供されています。PLO4は手札4枚のポットリミットオマハです。Hold'emとPLOは別契約で、PLO5・PLO6は公式案内では開発中です。以下の具体例はNLH(ノーリミットホールデム)に限ります。PLOの対応種目と契約範囲

参照・練習・解析で、入力と出力が違う

最初に決めるのは、「答えを見たい」「自分で答えてみたい」「終えたハンドを見直したい」のどれかです。同じポーカー学習でも、必要な入力が変わります。

モード入力するもの得られるもの
Study:参照解の条件、行動経路、ボードレンジや個別ハンドの戦略・指標
Practice:練習練習する条件・範囲、自分の判断モデルとの差、得点、練習履歴
Analyze:解析対応形式の自分の終了済み履歴解析状態、行動の評価、リプレイ

Studyで選ぶ保存済み解(presolved solution)は、あらかじめ決められた条件で計算された戦略です。一方、custom solvingはレンジやサイズなどを設定して、対応範囲内で解を計算する機能です。保存済み解の参照、独自条件の計算、履歴の自動解析は別の仕組みです。Studyの構成、custom solvingの公式更新

種目・人数、スタック・レーキ、位置・サイズをそろえて保存済み解と行動経路を選ぶ関係

レンジは、その場面で持ちうる手札の集まりです。有効スタックは、対戦者間で実際に争えるチップ量の目安で、bbはビッグブラインドを1とする単位です。レーキは運営側が徴収する手数料、アンティはブラインドとは別に払う参加料を指します。これらが違えば、同じ手札でも比較対象の戦略が変わります。

Solution selectorでは、種目だけでなく人数・深さ・レーキ/アンティ・サイズ設定まで確かめます。近い条件の解を使う場合は、違いを残したまま検討します。NL500などのライブラリ名だけから、実際のゲームと同一の手数料体系だとは判断できません。条件選択を説明した2022年10月27日の公式資料

公式例で、戦略表示の読み方を追う

条件と行動経路をそろえる

ここでは公式Study ModeマニュアルのBTN opens, BB callsという例を使います。同ページの別の説明にはUTGの例もありますが、以下ではBTN対BBの例だけを追います。掲載文書とリンクの条件を読む教材であり、現行アプリで再計算した結果ではありません。

確認する項目この公式例の条件
種目・ライブラリ6-max Cash/General/NL500
開始時の深さ100bb
プリフロップUTG・HJ・COがFold、BTNがRaise 2.5bb、SBがFold、BBがCall
フロップQ♠ 9♦ 7♥
読む判断点BBがCheckした後のBTN

公式リンクでは、ライブラリ識別子が「Cash6m500zGeneral」、行動列が「F-F-F-R2.5-F-C」、ボードが「Qs9d7h」と記録されています。マニュアル掲載例の条件付きリンク

文書に沿った選択順は次のとおりです。これは学習画面で条件を指定する操作例であり、対戦で選ぶべき額の推奨ではありません。

  1. StudyのSolution selectorで、表の種目・ライブラリ・100bbを対象にします。
  2. 上部のSpot selectorでプリフロップの行動をたどり、BTN Raise 2.5、BB Callの経路に合わせます。
  3. フロップにQs・9d・7hを選んで確定し、BB Check後のBTNの判断点へ進みます。
  4. Strategyでレンジ全体を見てから、選んだハンドの詳細へ進みます。

レンジ全体と個別コンボを分ける

Strategy matrixは手札の種類ごとの全体像、Hand matrixは選んだ種類をスートまで分けた表示です。コンボとは、7♠7♦のような具体的なカードの組み合わせを指します。文書では、マスにカーソルを合わせて個別の表示を確認します。

公式文書例の77・55・72oの全体表示と、ボードの7ハートが77の個別コンボを除外する関係

公式例では、77は赤系のベット中心、55は緑のチェック、72oは黒いレンジ外として説明されています。72oの「o」はスートが異なることを表し、この例ではプリフロップで別の経路を取るため表示対象に残りません。色は変更できるので、色だけでなく行動ラベルも読みます。
また、77でも7♥を含むコンボは、ボードの7♥と重複して使えません。同じ黒でも、「前の行動経路に残らなかった手」と「カードの重複で存在しないコンボ」は理由が違います。Strategy matrixとHand matrixの説明

全体のマスがほぼ赤くても、個別コンボの細部まで同じとは限りません。公式掲載のHand matrixにも微小なチェック表示があるため、ここでは77の全コンボを厳密な100%ベットとは扱いません。全体像を見て、個別コンボで内訳を確かめるのが読み方の要点です。

頻度・EV・EQを取り違えない

Strategyでは表示項目を切り替えて指標を確認できます。見る量を変えても、同じ条件の結果を読んでいることは変わりません。

表示表すもの表さないもの
行動頻度その解で各行動を使う配分その手の勝率、実際の相手の行動確率
EV選択条件のもとでの期待値。文書ではbb表示必ず得られる利益
EQ相手のレンジに対し、以後ベットせず最後まで見た場合の取り分の割合ベット後も含む実際の収益
Range weightその手がレンジに含まれる重みベット頻度そのもの

複数の色がある混合戦略では、一つの行動だけを常に選ぶという意味ではありません。EVの大小と行動頻度も別の情報です。この例の未確認のEV値や現行のコンボ頻度を補って読むことはできません。公式の表示指標

練習結果を、復習につなげる

Practiceでは、先に自分の判断を出してから、選んだ解との差を確認します。Studyで分かったつもりの場面を、自分で区別できるか確かめるためのモードです。

Game・Board・Handsの設定から練習範囲、判断、Practiced handsの復習へ進む流れ

公式Trainer文書では、Gameで形式・解・深さ・開始点・位置などを設定し、Boardでボードやその特徴、Handsで配られる手の範囲を選びます。そのうえでFull hand(ハンド全体)、Spot(一つの判断点)、Street(一つのラウンド)から練習範囲を選びます。
判断後は情報パネルのStrategyやRangeで内訳を確認し、終了後はPracticed handsから履歴を選んでリプレイできます。Trainerの設定、練習履歴の見直し

GTOW ScoreはTrainerに対する判断の評価です。EV lossは基準の戦略と比べた期待値の損失で、実際に失った金額とは違います。得点の上昇を、そのまま実戦の勝率や利益の上昇には置き換えられません。

評価のBestは、通常は最も頻度の高い行動で、RNG(乱数)モードでは出た数に対応する行動です。Correctは、ある頻度で使われるもののBestには分類されない行動を含みます。Best=最大EVの行動一つ、Correct=失敗とは読まないでください。得点と行動分類の公式定義

ハンド解析では、参照条件のずれも確認する

Analyzeで評価されるのは、履歴と参照モデルとの関係です。実際の履歴と、比較に使われた解の条件を一緒に確認することで、数字の意味を判断できます。

実際の履歴と参照解の条件差・対応状態を確認してHandsからReplayで振り返る流れ

公式文書にある経路は、UploadでSingle HandまたはFilesを選択し、Analyzeを実行、Uploadsで処理完了を確認、AnalyzeメニューのHandsへ進み、行を選んでReplayを開く流れです。Single Handは1件の履歴、Filesは対応する履歴ファイルを入力します。本記事では履歴送信や解析は実施していません。アップロードと処理状態の公式説明

HandsにはEV loss、BB W/L、ポットなどの項目があります。BB W/Lは履歴上の勝ち負け、EV lossはモデルとの差です。勝ったハンドでもモデルとの差は生じうるので、この二つを同じ成績として読みません。Analyzerの表示項目

確認するもの文書の説明と読み方
スタック・サイズプリフロップ〜ターンは、利用できる近い保存済み解と比較する
サイズの不一致実際のサイズと参照サイズの差が括弧で表示される。公式例は実際2.5bbに対して解が2.3bb
リバー実際の深さ・サイズを使って計算するが、レンジは保存済み解から引き継ぐ
対応状態全件が解析されるとは限らない。解がない場面、未対応形式、部分的な解析、エラーを区別する

この仕組みでは、リバーの条件が近くても、それ以前の参照レンジのずれが消えるわけではありません。大きなEV lossを見つけたら、まずどの条件の比較かを読み直します。近い解との照合とリバーの扱い

Analyzer文書には複数人のポストフロップなどを扱えない説明があります。一方、2025年8月12日の公式更新では3人のcustom postflop solvingが案内されています。機能と資料の時点が違うため、「製品全体が複数人に非対応」とも、「3人の履歴がすべて自動解析される」とも一般化できません。3-way custom solvingの更新とその当時の制限

利用範囲と、対戦中利用のルールを確かめる

2026年10月26日に確認した公開文書では、次の範囲まで分かりました。現行アプリの全プラン・端末動作を試した一覧ではありません。

項目確認できた範囲残る確認事項
PCブラウザで利用でき、インストールは必須でない各端末・ブラウザでの実動作
モバイル従来のNLHヘルプにブラウザ/PWAの手順があるPLO資料ではモバイル対応を今後としており、同じ扱いにできない
無料枠公式に制限付き無料枠の説明があるNLHヘルプの回数と現行アプリの一致。PLOは公式LPと導入記事で練習回数に差がある
有料機能種目・プランに応じて利用範囲が変わる現行NLHの価格・全プラン差は未確認
試用規約にHold'emの24時間・一人一度の試用規定がある無料枠とは別。PLOには適用されず、実際の開始可否は未試行

端末についてはインストール案内、無料枠についてはSubscriptionヘルプ、PLOについては現行案内と2026年5月12日の導入記事、試用については規約4.3を確認しています。数値の異なる資料を合わせて、全種目共通の無料上限や最新価格にはしていません。

利用時期については、GTO Wizardの規約7.1が、オンラインを含む対戦中の利用や、主催者の条件に反する利用を禁止しています。規約7.4では、解析・アップロードできるのは自分が実際に参加したハンドだけです。GTO Wizardの利用条件

対戦サービス側のルールも別に確認します。たとえばPokerStarsは、クライアントが開いている間の高度なGTO計算やGTO解の参照を禁止しています。卓を開いていない場合や、別端末の使用も対象にする説明です。これはPokerStarsの例であり、全サービス共通の規約としては扱えません。PokerStarsの外部ツール規定

この記事で扱うのは、対戦とクライアントを終えた後の学習です。Studyで条件付きの戦略を読み、Practiceで判断を試し、Analyzeでは比較条件と対応状態を確かめる。その順序で、表示された答えの意味を復習につなげられます。