PokerCruncherは手札・レンジからEquityを調べるツール
PokerCruncherは、指定した手札や相手の候補群から、その条件でのポットの取り分(Equity)を計算するテキサスホールデム用ツールです。ポットは、参加者が出したチップの集まりです。

提供元はPokerCruncher, LLCです。特定の2枚だけでなく、相手が持ちうる手札の集合であるレンジを入力し、共通カードのボードや、配られないと分かっているカードも条件にできます。公式教材では最大10人の計算と、端末内での計算に対応すると説明されています。
出力から分かるのは、入力した条件で最後までカードを配った場合などの確率・取り分です。ベットやフォールドの最適行動を解くGTOソルバーではありません。 相手レンジの仮定が変われば結果も変わり、Equityだけで利益や選ぶべき行動は決まりません。提供元の製品説明で、対象がTexas Hold'emのodds/equity calculatorであることを確認できます。
手札と相手レンジを入力して公式例を追う
まずは、公式Written Tutorialに掲載されたiPhone-Advancedの例を、入力から結果まで対応させます。教材はiPhone Xの画面を使用しています。
画像の正確な撮影日・アプリ版は確認できず、ここで紹介する手順と値は現在版の実機試用記録ではありません。現行版の料金・OSは後半で分けて示します。
入力する手札・レンジと計算条件
プレイヤー1は特定のQ♠Q♥、プレイヤー2はKK以上のペアとAKの全組み合わせです。ボードはまだ1枚も分かっていない条件で、最後のリバーまで配った場合を計算します。
ボードは全員が使える共通カードで、最初の3枚がフロップ、4枚目がターン、5枚目がリバーです。
| 入力・設定 | この公式例の条件 |
|---|---|
| 計算対象 | 2人 |
| Player 1 | 特定の2枚: |
| Player 2 | レンジ:KK+, AKs, AKo |
| Board | 5枚とも空欄(不明) |
| Dead Cards | なし。画面表示は {} |
| Deal To | River |
| 計算方式・回数 | Monte Carlo Simulation、1,000,000 trials |
KK+はKKとAA、sは同じスート、oは異なるスートを意味します。ここでいう「コンボ」はスートまで区別した2枚の組み合わせです。AAが6、KKが6、AKsが4、AKoが12で、合計28コンボになります。4つのマスを選んだレンジでも、各マスの組み合わせ数は同じではありません。
レンジを編集して計算する
公式教材では、次の流れで先ほどの条件を入力します。以下の2図は、公式の2画面から操作と最終確認に必要な部分を拡大したものです。
| 順序 | iPhoneの公式教材での操作 |
|---|---|
| 1 | Player 1のカード欄を選び、Q♠とQ♥を指定する |
| 2 | Player 2の欄を選んでRngをタップする。欄のダブルタップでもレンジ編集へ進める |
| 3 | KK+, AKs, AKoを入力・選択し、4つのマスと全28コンボが含まれる状態を確認する |
| 4 | ボード空欄、Dead Cardsなし、Deal To Riverを確認し、Calcで計算する |

上図は公式QQ例のPlayer 2入力欄とRngボタンの拡大です。欄を選んでレンジ編集へ進み、次の3か所で入力後の状態を確認します。

レンジ文字列はKK+, AKs, AKo、含めるマスはAA・AKs・AKo・KK、最終コンボ数は28 / 1326 combos(2.11%)です。出典:PokerCruncher公式Written TutorialのQQ対レンジ例。どちらの図も原画の内容を保ち、切り出しと等比拡縮をしています(2026年10月26日確認)。
マスをタップしただけでは、編集対象として選択されている場合もあります。最後のレンジ文字列とコンボ数を見て、意図した手札が実際に含まれるか確認してください。教材にはマスの追加・削除を切り替えるAuto-Add/Remove Grid Cellsの設定もあります。
レンジ編集画面の28 / 1326 combos(2.11%)は、52枚から2枚を取る全1,326組を基準にした表示です。Q♠Q♥が分かっている状況での相手の条件付き確率を、そのまま2.11%と表しているわけではありません。既知カードによる除外を表示へ反映するView Card Removal Effectの設定があり、実際の計算ではカードの除外が考慮されます。
結果はEquity・Win・Tieに分けて読む
掲載画面の結果は次のとおりです。これは公式画面の観測値で、当サイトがアプリを実行して得た数値ではありません。
| 対象 | Equity | Win | Tie |
|---|---|---|---|
| Q♠Q♥ | 39.9% | 39.7% | 0.44% |
| KK+, AKs, AKo | 60.1% | 59.9% | 0.44% |
Monte Carloはランダムな試行による推定なので、同じ入力でも再計算時の小数末尾まで一致するとは限りません。数値が違うときは、まず手札のスート、レンジ内のコンボ、ボード、Dead Cards、Deal To、試行回数を見直します。
特定手札・ランダム・レンジを使い分ける
| 指定方法 | 表す条件 |
|---|---|
| 特定手札 | Q♠Q♥のように、2枚をスートまで固定する |
| 空欄のカード | そのカードが不明で、残ったカードから配られる |
| レンジ | KK+, AKs, AKoなど、含めた複数の候補から相手の手札を考える |
「相手の手札が不明」と「特定のレンジを想定する」は別の条件です。特定の2枚を入力することと、その1コンボだけのレンジを作ることも、カード除外の表示上は扱いが異なる場合があります。表示の見え方だけで、入力条件が同じだと判断しないようにします。
Dead Cardsは、どのプレイヤーやボードにも配られないと分かっているカードです。教材のモバイル手順では、Menu → Dead Cards, Settings, Undo → Set Deck Card Dead/Liveへ進み、デッキのカードをタップして指定します。Macでは専用の切り替えボタンを使います。ボードの空欄をDead Cardsで埋める操作ではありません。
Equity・単独勝ち・引き分け・役分布を分けて読む
Equityには、引き分けになったときに受け取る取り分も含まれます。 Winは単独で勝つ確率、Tieはほかのプレイヤーと最良の役を共有し、勝ったポットを分け合う確率です。

画像左の出典:公式教材のAA対AA例。A♠A♥とA♣A♦の各プレイヤーに、Equity 50.0%、Win 2.19%、Tie 95.6%と表示されています。この切り抜き自体にはボード・Dead Cards・試行回数がなく、それらをQQ例と同じ条件だとは扱いません。
2人で均等に分ける引き分けなら、Equity = Win + Tie ÷ 2です。この例では表示値を使うと、2.19 + 95.6 ÷ 2 = 49.99となり、約50%です。
丸められた表示値からの説明なので、細かな桁まで一致させる式ではありません。3人以上では、引き分けに参加する人数に応じて取り分が変わります。
したがって「Equity 50%」を「単独で50%勝つ」と読むことはできません。QQ例でも39.7 + 0.44 ÷ 2は約39.9となり、WinとEquityの差を説明できます。
役の分布は、誰の・いつまでの統計かを確認する
フラッシュになる確率と、相手に勝つ確率は別の統計です。Stats欄ではプレイヤーを選んだ場合と、勝った手札の統計を選んだ場合で対象が変わります。Deal Toも、フロップまで配るのか、リバーまで配るのかを決める条件です。
| 公式教材の別例 | 表示の読み方 |
|---|---|
| 1人だけのJ♠T♠、ボード不明、Deal To Flop、Dead Cardsなし、75万回のMonte Carlo | 相手がいないためEquityは100.0%。「必ず強い役になる」の意味ではない |
| 同じ画面の役分布 | Straight 1.29%、Flush 0.81%、High Card 65.6%など。選択したプレイヤーがフロップ時点で作る役の分布 |
このフロップまでの値を、リバーまでの役の出現率に読み替えることはできません。上のAA対AAとも別の入力例です。Mac-ExpertのRange Equity Distributionは、レンジ内のコンボごとのEquityの分布を見る追加機能であり、役の種類の分布や全モバイル版共通の画面とは区別します。
条件変更と計算方式の違いを理解する
復習では、一度に変える仮定を決めて、変更前後の結果を比べると、レンジの影響を追いやすくなります。公式教材には、QQ対KK+, AKs, AKoから、AKの組み合わせの一部を外す例があります。
| 変更する部分 | 教材での指定 |
|---|---|
| AKo | 12コンボのうち上側の三角形にある6コンボをOFF |
| AKs | 4コンボのうち2番目と4番目をOFF |
| AA・KK | 元のまま残す |
| 結果の記述 | QQのEquityは元の約40%から約33%へ変化 |
この約33%は公式本文に書かれた値で、新たな実行結果ではありません。比較から分かるのは、相手の候補の構成を変えると、QQの計算結果も変わることです。実際の相手がそのレンジを持つ頻度まで、アプリが確定してくれるわけではありません。
また、特定のスート組をOFFにする操作は、全コンボを残して任意の割合重みを付ける操作と同じではありません。Mac-Expertの%age Weightsは別の追加機能です。フラッシュや、あと2枚の両方を使って完成するバックドアフラッシュが関係する場合は、どのスート組を外すかが結果に影響します。「半分ならどの組を消しても常に同じ」と一般化しないでください。
Monte Carloと完全列挙の表示を見分ける
QQ例は100万回のMonte Carloでした。一方、公式教材の次の3人例では、手札6枚とフロップ3枚がすべて特定され、残りのターン・リバーだけが未確定です。

出典:公式教材のBasic Calculation例の抜粋。手札はA♠A♥/K♣K♦/J♠T♠、フロップは8♣9♠2♥、Dead Cardsなし、リバーまでの計算です。画面にはComplete Enumeration: 903 of 903 casesと表示されています。
| 比較 | QQ対レンジの公式例 | 3人・特定フロップの公式例 |
|---|---|---|
| 方式 | Monte Carlo Simulation | Complete Enumeration(完全列挙) |
| 表示された計算量 | 1,000,000 trials | 903 of 903 cases |
| 計算の意味 | ランダム試行から推定する | 対象となる全ケースを調べる |
| 掲載されたEquity | QQ 39.9%/相手レンジ60.1% | AA 55.6%/KK 6.53%/JTs 37.9% |
3人例は、52枚から既知の9枚を除くと43枚が残ります。その中から未確定の2枚を選ぶ組み合わせは、43 × 42 ÷ 2 = 903通りです。これは当サイトで確認したケース数の計算で、アプリを再実行してEquityを再計算したものではありません。
完全列挙は全ケースを調べても、結果の前提は入力した手札・ボード・除外カードのままです。Monte Carloで試行回数を増やすことも、誤った相手レンジの仮定を正してくれるわけではありません。
端末別の版・料金・対応OSを確認する
iPhone・iPad・AndroidはAdvanced、MacはExpertです。2026年10月26日に確認した公式のUSD価格とリリース履歴、同日保存したUS App Storeの対応OS表記を整理します。教材画面の版を、下表の現行版と同一とは扱いません。
| 端末・製品 | 公式USD価格 | 履歴にある現行版・公開日 | 対応OSの確認範囲 |
|---|---|---|---|
| iPhone Advanced | US$12.99 | 17.2.2/2026-09-26 | iOS 18.0以降 |
| iPad Advanced | US$17.99 | 17.2.2/2026-10-02 | iPadOS 18.0以降 |
| Android Advanced | US$12.99 | 18.3.1/2026-09-08 | 最低OSは今回確認できず |
| Mac Expert | US$49.99 | 18.1.1/2026-04-17 | macOS 13以降 |
出典:公式Purchase・FAQ、公式Version Release History、US App StoreのiPhone版・iPad版・Mac版。OSは保存済みのストア本文に基づきます。販売地域・公開時点で表記が変わることがあるため、利用端末に表示される条件も確認してください。
価格は公式サイトの米ドル表示で、日本のストアでの円価格を保証するものではありません。提供元によると、各端末版は別アプリ・別購入の買い切りで、追加の継続課金やアプリ内購入はありません。公式FAQにはWindows-PC版はないと記載されています。
| 違い | 適用する範囲 |
|---|---|
| iPhoneとAndroidの画面 | 公式教材はiPhone。Androidには小さなUI差があるが、核となるAdvanced機能は同様と説明されている |
| iPadとMacの編集 | 大画面レイアウト。教材ではプレイヤー欄を選び、常時表示のRange Editorで編集する |
| 分布グラフ・割合重みなど | Mac-Expertの追加機能。モバイル版にも同じ操作があるとは扱わない |
端末のOS条件、販売版、教材の画面は、それぞれ確認対象が違います。古い履歴に書かれたOS要件を現行版へ流用したり、Androidの最低OSを推測したりしないことが大切です。
対戦サービスを終了してから復習する
この記事の操作例は、対戦クライアントを終了した後の学習・復習として使います。公式教材にオンライン対戦との併用を勧める記述があっても、利用先の現在の規約を上書きする許可にはなりません。

具体例として、PokerStars.comの第三者ツール方針を2026年10月26日に確認しました。同方針は、すべての計算器を一括で禁止しているのではなく、機能と利用時点を分けています。
| 方針上の区分 | 記載されている主な内容 |
|---|---|
| 一般に許可される基礎的な機能 | ポットオッズや絶対的なハンド強度など、基本的なゲーム状態の表示 |
| クライアント起動中に禁止される高度な機能 | 高度なEquity計算、レンジ対レンジの計算・node locking、ICM/Nash関連プログラム、GTO解など |
| 常に禁止される機能 | 現在のゲーム状態を読んでリアルタイムに行動を助言する機能、人間の判断を代替するbotなど |
この方針では、クライアント・アプリ・ソフトウェアを開いている間の高度なツール利用が問題になります。テーブルを開いていない、判断の前後だけ使う、別端末で使う、といった理由は例外になりません。PokerCruncherのようなレンジを使った分析は、クライアントを終了してから行います。
これはPokerStars.comを対象にした確認です。他サービスの許可、他地域での利用条件まで保証するものではありません。復習する際は、利用先の最新の規約も確認し、入力した条件と結果を学習用の記録として残してください。

